役者達は総じて自分の演技というモノに真面目に取り組みます。
でも、真面目に取り組めばそれでイイかというと、そうでもないのが演技の難しいところです。
私がよくトレーナーとして口にする言葉の一つ
『芝居はね、英語で言うとPLAYって言うの、PLAY、つまり遊びなんだからさぁ、そんなに深刻にならずに楽にやりなさいよ』
こういう事をトレーナーとして、または時に演出家として役者に言う時は、殆どの場合、その役者が周りが見えなくなるほど、演技に入り込んでいて、自分の作り出した固定観念や役の感情やキャラから抜け出せなくなっている時です。
役者はよっこらしょ!よっこらしょ!と自分の役を掘り下げます。掘り下げるのはイイのですが、
最後は自分の掘った穴にはまり込んで、蟻地獄のように出れなくなってしまうのです。
当然100%、演技はうまく機能しません。
では、どうすればイイのか?で、今日の発想力。
『あなたは誰の為に演技するんですか?』という質問を自分にしてみると良いのです。
答えはもうわかりますね『お客様』
時間さいて、お金使って観に来てくれた人達の為に演じるのです。
『自分がイイ演技をした』とか『役の気持ちになって感情が溢れた』とか自己中な事にばかりとらわれていると、ポイントがずれて蟻地獄にズルズル。
感情が溢れるのはお客様でいいんですから。
私はそういう人を役者ではなく『演技オタク』だと思います。
そもそも、発想力というのは自分や自分の置かれてる状況を客観視する事から生まれる、
思考と感覚のジャンプです。
アインシュタインが相対性理論を発見した瞬間。
悩み続けた氏は橋の上に立ち川を眺めていた。
川が流れているのか、橋の上に立っている自分が動いているのか判らない感覚になり、
『これだッ!世の中、全て相対的なんだッ!』となった訳で、
もし氏が黒板の数式とばかり睨めっこして
『う〜ん、コレはイイ計算式だ』
『ここまで解ければ、大分イイ線だ』
なんてやっていたら、今だに相対性理論は発見されてないでしょう。
役者はせっかくお客様という、客観的な存在がいるのですから、その他者にどうすれば伝わるかを
最優先でイメージし、体現出来なければイケません。
さすれば色々な発想が生まれてくるはず。生まれて来ないのは勉強不足ですね、多分。
(お客に媚び売れと言ってる訳ではないので、くれぐれも誤解なきよう)
しかし、私、幾らお客様に褒められても、今まで演技で一度も自己満した事がありません。
それはそれで哀しいタチですが・・・
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