私は最近、SYMBIONに限らず、色々な養成機関からお声をかけて頂き、
トレーナーをやらせて貰っています。
場所は変わっても俳優を志す若者は悩み多き人達なので、私はよく質問を受けます。
『私売れますか?売れませんか?』
↑
『それは、神様だけが知っています』
『芸能界ってどんなとこですか?』
↑
『人によって捉え方が違うので、一般論はありませんが、憧れだけで生きていける
甘い世界じゃありません』
『イイ役者さんって誰ですか?』
↑
『たくさんいらしゃいますが、取り敢えずあなたが今イイ役者だと思う人があなたにとっての
イイ役者さんです。後で演技に対しての理解力が増し、例えその人が大したことなく見えても、
それはまだ先の事ですから、人には聞かないで自分で判断する事』
で、本日賜ったご質問。
『僕はナカナカ演技の時に自己開放出来ません、どうしたら自己開放出来るんでしょうか?』
一見、演技を学んでいる人のごもっともな質問、で、私の答え
『じゃあ、ココで自己開放した演技とそうじゃない演技を観せてくれる?』
『・・・・・・・・・』
『ホラ、具体的に判らないから、何も出来ないないでしょ?それはね、キミの中のある観念なの、
そんな事で悩んでいるより、自分の事は置いといて、もっと相手役に集中しなさいよ、自己開放
なんて考えてる暇なくなるから』
『はぁ・・・・』
『言っとくけどね、俺、演技やってて一度も「自己開放」なんて考えたことないよ』
『そうなんですか!?』
『そうだよ、自己開放しただけでお金貰えるなんて、そんな虫のイイ話、この世の中どこにあるの』
『そりゃまぁ、そうですよね』
で、一件落着。
確かに、優れた芸術家はその創作のプロセスにおいて、自己と向き合い、
自分の暗部を引っ張り出し、苦しみながら作品に投影させます。
しかし、それは今日の彼が私に問うた「自己開放」とは天と地ほど違うものです。
「自己開放」=「自己満足」=「仕事」はどんな場合もありえません。
仕事とは「事」に「仕える」から仕事です。自分が始めじゃないんです。
辛い仕事に一生懸命、時に奴隷の様に仕えて、その中に自分なりの小さな満足見つけ出し、
自分が関わったその仕事が成功したら、己の苦労も報われたと喜び開放されるのです。
私はこれが本当の自己開放だと思っています。
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