2013年3月8日金曜日

バーテンダーとフーテン


今回の公演はWキャストなので、本日もうひと組が初日を迎えました。感想やアンケートも好評です。でも僕はアンケートというシステムに対してイマイチ懐疑的な考えを持っています。

 今回のストーリーは、社会、学会に認められぬままこの世を去った゛UFOに傾倒してしまった理論物理学者の息子”の話しです。ほんの少しだけストーリー説明・・・

不遇のまま人生を終えたの名誉を取り戻すべく、息子はUFOを信じて世界平和を実現しようとする理想主義者の大学生。
でもUFOの存在を誰よりも信じていなかったのは、この息子本人でした。「UFO・・来た!!見えるよな!?」そう言って夜空を指差す父親。その指の先には星空しか見えなかった息子。でも息子は「うん・・見えるよ」と嘘をついた。息子は父が死んでからというもの、ヒステリーとも言えるほど、UFOを信じ続け、交信を続けていたが心の底の「絶対にUFOなど有り得ない」という思いは年々増すばかりであった。

しかしとあるきっかけから(只今上演中の為、ストーリーはここまでにさせてください)彼はUFOの存在をじる事となり、『父を欺いていた』というトラウマをえ、彼自身が社会からの逸脱を決意し、UFOへの交信に最適な場所として高層階の展望バーを見つけ、バーテンになるのですが・・・

そこで、今日の面白いアンケートにちょっと注目。

『理想主義者がバーテンというのはおかしい、バーテンダーというべきだ、バーテンという差別用語を使ってる』
男性のお客様の意見でした。アンケートというシステムはどんな意見を書こうが個人の自由です。ただ私はこういう類の感想にいつも度肝を抜かされます。

今回の主人公は体制に組み込まれる事を良しとせず、自らの理想の為にバーでシェイカーを振る事を選択しました。バーテンはバーと職を持たないフーテンが一緒になった(『フーテン』は戦後の一種の差別用語)語ですが、今回の主人公はまさしく最後はフーテンになる事を自分でんだということで『バーテン』という言葉は主人公を表す上でのしい選択として使われています。

 ストーリー全体を考えると、バーテンという葉が正解なのですね。

ニート、フリーター、女性の働力増強による労働争議の解決・・・国策に近い政策にのみこまれ、アウトサイダーとして生き残る強さを持たない多くの人が老齢になってからーキングプアになっている状況を見過ごしてはいけません(この辺に関しては書くと長くなるのでコメント来たら書きます)

 
今回の主人公の人生を観て、「なぜ彼はバーテンを択したのか?」が、ンサイダーとして戦い続けて不遇の人生を歩んだ父と、ウトサイダーを選択せざるを得なかった息子の二世代の人生を観て、戦後から現代の日本の問題をリアルに考えられる作品になっている=アリズムなのだと考えてもらえたらありがたいと思います。

 
ちなみに私の父は遺言で私の事を『フーテンのタカ』と書きました(笑)寅さんを始めとして『フーテン』という言葉には何かほんわかする響きがありますね。社会に組み込まれないアウトサイダー的な響きと言いますか。私は亡き父にそう規定して貰ったので、これからも思う存分『フーテン』させて頂きます()

 

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