2013年3月12日火曜日

役者の品格

千秋楽を迎えた『見上げてごらん・・・』の若手俳優達は、今日などは『祭りの後』の放心状態でいる事でしょう。自分の演技の未熟さに涙し、落ち込み、追い詰められ、それでも舞台の上で全力で演技をしている彼らの姿は美しかったと思います。

役者は『品格』がないとダメだとよく言われます。では、品格ってなんだろう?と考えた時。私が思うに、それはクリエイションに対しての真摯な姿勢だと思います。

役者もプロアマ問わず、キャリアを重ねてくると、心が緩み、初心を忘れます。
まだ経験の浅い時にはセリフを誰よりも早く憶えて稽古に臨み、一行のセリフを色々工夫して演技し、演出家に『そんなにセリフいじくり回さなくてもイイんだよッ!バカッ!』と言われては落ち込み、それでもめげずにまたひと捻りして・・・・とにかく『演じる』という事に対して全身全霊でぶつかっていくのです。

それが、時が経ち自分なりの演技の仕方や、稽古の仕方が判ってくると、駆け出しの頃の真摯な姿勢は失われ『こんな感じでいいじゃない』という狭い自分の想定内の演技や『この現場ではこんなもんでいいかなぁ』という様な人間関係の中での居方しかできなくなり。
その役者の『品格』は失われてゆきます。

私が尊敬する役者諸先輩は全員、歳を重ねても演技に対しての真摯な姿勢を失っていません。ベテランのテクニックと新人の苦悩が共存してるから、凄い役者なんです。

昨日、楽を迎えた役者達が、キャリアを重ねても、今回の経験を忘れずにいて欲しいなぁと切に願うものです。

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