プロの俳優として仕事をするために必要な10のこと
~2016.9.20 樋口隆則講演会より~
1. 日本芸能界で必要とされる役者とは
樋口隆則 (撮影 井関紀大) |
プロフェッショナルとアマチュアの違い。まずはこの話から。皆さんは、プロとアマの違いは何だと思いますか?何が二者を分けると思いますか?
「演技でお金を稼ぎ、生計を立てているかどうか。」
こう答える人は多いでしょう。生計を立てているかどうかも判断基準の一つですが、
樋口はそうは思いません。
有名俳優でも何年かは、全く仕事がなかったり、何十年もなかず飛ばずだった俳優が突然脚光を浴びたりなどということは俳優とゆう職業ではよくあることです。
樋口の答えはこうです。
「プロは人の楽しみの為に演技をし、
アマチュアは自分の楽しみの為に演技をする」
要するに、俳優各個人の意識のあり方がプロとアマの境界にあるということ。
プロは人の楽しみのために演技をする→代価であるお金が派生する。
これは太古の昔から人の仕事の原型、つまり「物々交換」。
そして、同じ「役を演ずる」という労働をしても代価が同じドラマ内で大きく違うのは、その人の演技をどれだけの人が見たいか、見たくないかに左右されるからです。
(人気・視聴率に俳優達が一喜一憂するのはそのためです。)
あなたの演技を楽しみたい人がたくさんいれば、代価は高くなるということです。
少し横道にそれますが、芸能事務所の力が強く働く日本芸能界では、俳優に力がなかったとしても「この俳優は価値のある俳優です。商品として最高のクオリティです。透明感あります。裏切りません。変なスキャンダルは起こしません」と、マスコミと共に大衆に魔法をかけて利潤をあげようとしている場合もたくさんありましたが、ネット社会になった今、総じて長持ちはしなくなりました。
『プロ意識で演技をしている俳優は どんな場にいても 己の好みを超えた演技を提供する』
俳優という職業は、映画・ドラマ・舞台等の
『土俵』がないと『相撲』がとれません。
そしてその土俵をまず日本芸能界で考えてみましょう。
現在の土俵は、俳優にとっては大変厳しい状況です。
日本芸能界はテレビを中心に動いてます。役者もテレビで売れているかどうか、視聴者にどれだけ名前を知られているかどうかで仕事が決まり、その俳優の存在価値『偉い・偉くない』が決まります。
つまり、実力より、どれだけ有名か という「立場」が重要なのです。
あなたの演技が良いかどうかは残念ながら、二の次の場合が殆どです。
立場が上=有名=視聴率が取れる=スポンサーがつく=お金が動く
この仕組みが現在はすべてと言っても過言ではないでしょう。
俳優という仕事を『自己表現がお金になる芸術的仕事』と思いがちですが、実際の現場はお金が中心に動いていて、一般的な他の仕事と何ら変わりはありません。
まずは、これをいつも忘れずにいてください。
良い、悪いに関わらず、日本芸能界でプロとして仕事をするためには、皆さんは、こういう仕事と関わろうとしているということを。
まとめ
~~日本芸能界で必要とされる役者とは~~『人の楽しみのために演技をできる俳優』であり
『お金で動いている世界』であることを理解した上で
『人に夢を見せてあげられる技術と人間性があること』